2014.03.31
短時間、低コストのコーティングで産業界に貢献~新型アーク式コーティング装置を開発~

日新電機株式会社(本社:京都市右京区、社長:小畑英明)の子会社の日本アイ・ティ・エフ株式会社(本社:京都市南区、社長:芝原和人)は、自動車部品や工具・金型などの表面コーティング加工に使用するコーティング装置の新型を開発しました。従来装置とくらべ短時間・低コストで成膜が可能で、従来比約2倍の生産量(当社比、月産ドリル処理本数換算)を実現しました。現在社内ランニング試験中で、2014年10月に販売開始予定です。

 

1.アーク式コーティング装置とは

新型装置は、真空中で金属を溶かし成膜するPVD(Physical Vapor Deposition:物理気相成膜法)方式の中でも主としてアーク放電を利用し金属を蒸発・成膜するアーク放電方式を採用しています。この方式による成膜は、成膜速度が速く、膜と基材(コーティング対象物)との密着性が高いのが特長であり、ドリル・エンドミル、インサートなどの切削工具、ホブやピニオンカッターなどの歯切り工具、また金型などの表面加工に適しています。コーティング後は、表面平滑性・高温耐久性・耐摩耗性が高まり、寿命や性能を大幅に改善することができます。

 

2.新製品の特長

(1)カソード材料コストを4分の1に低減

アーク蒸発源のカソード材料の直径を2.5倍に拡大し、アーク放電が発生する部分(アークスポット)がムラなくできるよう磁場で制御し、4.5倍の材料寿命を実現しました。その結果、カソード材料コストは4分の1に低減しました。(数値はいずれも当社従来比)

(2)サイクルタイムを2分の1に短縮

真空チャンバーの内部や、真空ポンプへの配管経路などを最適化し約2倍の実効排気速度を得ました。また基材を加熱するヒーターも、1.8倍の容量があるものに変更。これらにより不純物ガスを短時間で排気することで、トータルのサイクルタイムを2分の1に短縮できました。(TiN膜の例、数値はいずれも当社従来比)

(3)基材搬出の際に出るダストをブース内で回収し作業環境改善

従来の装置は、真空チャンバーの扉を開ける際に発生するダストで、設置している部屋全体の環境を悪化させていました。基材を搬出する扉をブースで囲み、ダストをブース内で回収処理することにより、工場内の環境改善が可能となりました。本ブースを搭載したのは当社が初めてです。

 

日本市場でのシェア拡大を目指すとともに、自動車産業の発展する中国、東南アジア、インドなどにも販売します。本装置の売り上げは、2015年度に4億円を見込んでいます。

 

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