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NISSIN ELECTRIC

企業がつくるグリーンインフラ 「雨庭」で取り組む生物多様性

当社は京都にある本社工場、日新アカデミー研修センター、久世工場内に緑地を設け、生物多様性に取り組んでいます。
これらは京都市が定める「京の生きもの・文化協働再生プロジェクト」の認定も受けています。
企業では珍しい、「雨庭」をつくることで都市部の排水に関する環境問題にも貢献する本取組を紹介します。

電力機器メーカーが生物多様性?

一見すると「電力機器の製造メーカーと生物多様性はつながるの?」という疑問が浮かぶことでしょう。
当社は工場の中に緑地を設けることで、植物の多様性に貢献する取組を行ってきました。
この取組の発端にあるのは、100年以上事業を続ける京都の地への感謝と、歴史や文化を創り上げてきた環境を守りたいという想いです。
そのため、植物の中でも京都ゆかりの固有種を意識して整備しています。

日新電機が育てる「京の生きもの」

「京の生きもの・文化協働再生プロジェクト」は、京都市が2014年より推進しているもので、伝統文化を育んできた京都固有の生態系保全を行う団体の取組を認定・支援しています。
当社は本社工場(認定第2号)を皮切りに3拠点で認定を受けています。
構内では京都伝統の葵祭で使用するために上賀茂神社に奉納する「フタバアオイ」のほか、「ヒオウギ」「フジバカマ」など京都の文化にゆかりのある希少種を育てています。


ヒオウギ(左)とフジバカマ(右)

グリーンインフラとしても注目される「雨庭」整備

日新アカデミー研修センターと久世工場では雨庭も整備しています。
雨庭とは、雨水をゆっくり浸透させる方式の庭のことです。

昨今ゲリラ豪雨などが多発しており、急な水量の増加による下水の氾濫が都市部で問題となっています。
雨庭はすぐに下水に流さず時間をかけて浸透させていくため、解決策として注目されています。

当社は研修センター建設にあたり相談した専門の先生から、雨水も資源となると指南いただき、雨庭整備に着手。
貯めた雨水で小川をつくることで「水景」とし、「京の生きもの」の育成に活用しています。
工場敷地内でも多様な環境をつくることを実現し、グリーンインフラを工場内で展開するモデルケースとなることを目指しています。


研修センターの雨庭・水景写真

生物多様性が育む新たなつながり

植物は生きものなので、整備しただけでなく日々の手入れも欠かせません。
当社の緑地は、障がい者雇用促進を目的とした特例子会社である日新ハートフルフレンドの協力により、雑草除去や落ち葉ひろいなどの手入れを行っています。

また、雨庭をきっかけに、大学と協力したモニタリング調査や社外からの見学・取材など、主要事業である電気以外の新たなつながりが生まれています。
加えて、道路に面して設けた研修センターの雨庭は近隣の方にも楽しんでいただいたり、久世工場の雨庭は社員同士の憩いの場になっていたりと、人と人との縁をも育んでいます。
今後も京都に限らず群馬県の前橋製作所を含め、取組を拡大させていく予定です。


水景エリアを見学


久世工場の雨庭は社員同士の憩いの場に

本取組は以下サイトでも紹介されています。
>> 京都市都市緑化協会「京のみどり」(当社掲載号:107号、108号、111号)
>> ランドスケープデザイン「地域特性に適したグリーンインフラのありかた 日新アカデミー研修センター・日新倶楽部嵯峨野荘」