人事部長が語る!「働きやすい会社」を目指した制度改革 ~前編~

新型コロナウイルス感染症の流行を機に社会状況が大きく変わり、新しい価値観が生まれ、働き方も多様化してきています。
こうした中、「働きやすい会社」を目指してさまざまな制度改革を行う岩永執行役員(人事部長)に話を聞きました。
日新電機の働き方改革 ~人事・人材戦略における3つの視点~
――中長期計画の中でも人事・人材戦略強化や働き方改革を挙げています。特に注力・意識していることは何でしょうか?
人事・人材戦略の大きな視点として「管理職の活性化」「人材採用・育成強化」「エンゲージメントの向上」の3つがあります。積極的に採用し、活き活きと働くことができる環境や制度を整えることでモチベーションを高めてもらい、自己都合退職者も減らしていこうというものです。
また、それを進める人事部においても、今の状況に対して思考停止せず、自分の頭で改めて考えてほしいという想いがあり、人事部の意識改革も進めてきました。そのあるべき姿が「従業員と組織のパフォーマンスの最大発揮を支援する」ということで、従業員の後ろにいる家族も見据えるよう伝えています。
また、それを進める人事部においても、今の状況に対して思考停止せず、自分の頭で改めて考えてほしいという想いがあり、人事部の意識改革も進めてきました。そのあるべき姿が「従業員と組織のパフォーマンスの最大発揮を支援する」ということで、従業員の後ろにいる家族も見据えるよう伝えています。

業務・職場環境に対する制度改革 ~活き活きと仕事ができるように~
――拘束時間や宿泊・海外出張など、出張関連の手当が多く見直されました。当社の場合、職種によって長期出張や海外案件も多くあります。どのような想いがありますか?
人事・人材戦略全体にも言えることですが、利益の適正な分配を意識しています。
当社は工場のある大きな拠点が京都と前橋(群馬)に、お客様を訪問する営業などの職種の方が集まる支社・支店などが全国にありますが、納入先や子会社は海外にも広がります。そういった京都・前橋以外の国内外の拠点に転勤したり、頻繁に出張したりする方にはより大きな苦労があり、京都や前橋の会社と思って入社された方からすると戸惑いもあると思います。まずはそういう方々をケアしなければと感じていました。
当社は工場のある大きな拠点が京都と前橋(群馬)に、お客様を訪問する営業などの職種の方が集まる支社・支店などが全国にありますが、納入先や子会社は海外にも広がります。そういった京都・前橋以外の国内外の拠点に転勤したり、頻繁に出張したりする方にはより大きな苦労があり、京都や前橋の会社と思って入社された方からすると戸惑いもあると思います。まずはそういう方々をケアしなければと感じていました。
特に工事関連部門の方々は、過去は建設系の別会社だった経緯などもあり、メーカーの制度だとケアできない部分がありました。そのため、苦労してもらっている方々に焦点を当てていこうという想いで、今の状況に合う制度に変えていきました。

――新型コロナウイルス感染症の流行を機に開始した在宅勤務制度は、育児や介護、疾患などの条件に合致する社員には継続的に適用されています。実情や反響はどうですか?
在宅勤務は感染症流行の早期から導入してうまく機能しました。当社はメーカーであり工場や現場にいる方が多く、現在は原則出社という形式になっていますが、ワークライフバランスの取れる働き方として有効な制度です。そこで、感染症法上5類への引き下げ以降も、育児や介護といった条件に合致する社員は申請すれば日数上限無しで在宅勤務可能とし、現在200人程度が利用しています。また、月5日以内であれば誰でも使用できるので、実際の利用者はもっと多いと思いますし、反響としてはおおむね好評です。
工場やお客様と接する部門などは出社での対応が必要なため、職種や職場によって利用しやすさに違いがあることは把握していますが、一律運用の難しさがあります。
工場やお客様と接する部門などは出社での対応が必要なため、職種や職場によって利用しやすさに違いがあることは把握していますが、一律運用の難しさがあります。

――管理職の働き方に対する見直しにも力を入れられています。これから目指すところを教えてください。
人手不足の中、労働時間管理の厳格化や多様性の尊重、ハラスメントリスクなど、部下指導が難しい社会状況になっています。その結果、部下に仕事を頼みづらくなり、抱え込んで遅くまで仕事をしている上司を見て、部下も出世を目指したいと思えなくなってしまうという悪循環に陥っていると感じています。そこで、管理職が活き活きと仕事をできるようにしたいと考えました。
ここ数年、給与のベースアップなどを中心に一般社員との色々な格差を徐々に広げ、モチベーションアップを図っていくとともに、管理職の業務効率化など負荷軽減のほか、26年夏に向けても抜本的な処遇制度の改革を予定しています。
ここ数年、給与のベースアップなどを中心に一般社員との色々な格差を徐々に広げ、モチベーションアップを図っていくとともに、管理職の業務効率化など負荷軽減のほか、26年夏に向けても抜本的な処遇制度の改革を予定しています。
――評価のデータ化なども進めていると聞きました。
活き活きと仕事ができるようにするためには、公平に評価することが大事だと考えています。経験やノウハウでの評価になると、人事部員との個人的な距離の近さで誤解されたりすることもありますし、経験頼りになると評価が属人化・固定化してしまいます。そのため、過去の評価をデータとして数値化し、見える化することで、昇進・昇格の際の参考にしました。
そうすることで経験やノウハウが無くとも論理的に評価ができるようになりますし、評価される人・評価する人が変わっても連続性が保たれてばらつきが少なくなり、周囲から見て納得感のある正当な評価ができると考えています。
そうすることで経験やノウハウが無くとも論理的に評価ができるようになりますし、評価される人・評価する人が変わっても連続性が保たれてばらつきが少なくなり、周囲から見て納得感のある正当な評価ができると考えています。
生活に対する制度拡充 ~若手中心の福利厚生見直しプロジェクト~
――家賃補助や社宅制度など住宅に対するサポートも変わりました。どういう経緯があるのでしょうか?
人事部の若手社員を中心に、従来の福利厚生制度について何が良くて何が良くないのかをプロジェクトとして考えてもらい、その結果出てきたのが住宅関係のサポートです。
以前は地元出身者がそのまま京都や前橋に勤めるケースが多く、その前提で制度がありましたが、現在は全国から社員が集まっており、京都や前橋出身者でも転勤・単身赴任の方も多く、住宅相場も上がっています。今までも課題は感じながら、従来の制度に慣れてしまっている部分がありました。
今回見直しにつなげることができたのは、冒頭で話した「思考停止しない」ということを若手主導で行った良い事例ですね。パターンとして、年齢に応じて賃貸住宅から持ち家に変わるとすると、考慮する対象は家賃から住宅ローンに変化していきますし、現在の生活の在り方に合わせて、今後も見直していくつもりです。
以前は地元出身者がそのまま京都や前橋に勤めるケースが多く、その前提で制度がありましたが、現在は全国から社員が集まっており、京都や前橋出身者でも転勤・単身赴任の方も多く、住宅相場も上がっています。今までも課題は感じながら、従来の制度に慣れてしまっている部分がありました。
今回見直しにつなげることができたのは、冒頭で話した「思考停止しない」ということを若手主導で行った良い事例ですね。パターンとして、年齢に応じて賃貸住宅から持ち家に変わるとすると、考慮する対象は家賃から住宅ローンに変化していきますし、現在の生活の在り方に合わせて、今後も見直していくつもりです。

――インフルエンザワクチンの社内接種や健康診断結果の早期返却、入院時の補助条件拡大など、健康に関する取組も進んでいますね。
これには人手不足の中で、採用強化や離職を防ぐ努力だけでなく、今いる従業員のパフォーマンスに注目して健康管理を戦略的にやっていこうという想いがあります。健康管理には、一次予防の啓発、二次予防の早期発見・早期治療、三次予防の復職支援という段階があります。これは冒頭で話した「従業員と組織の両方のパフォーマンス」につながっています。
家族も含めた従業員が健康であることは、仕事のパフォーマンスを最大限発揮するための必要条件ですし、やりがいを持って仕事をするためにも重要な要素です。ただ、健康管理は本人任せになりやすいので、一次予防・二次予防にもセルフケアだけでなく、会社として力を入れて(ラインケア)、組織のパフォーマンスを上げようと考えています。
家族も含めた従業員が健康であることは、仕事のパフォーマンスを最大限発揮するための必要条件ですし、やりがいを持って仕事をするためにも重要な要素です。ただ、健康管理は本人任せになりやすいので、一次予防・二次予防にもセルフケアだけでなく、会社として力を入れて(ラインケア)、組織のパフォーマンスを上げようと考えています。
――男性の育休取得に力を入れているほか、入院や介護などライフステージの変化に応じたサポートも見直されていますが、どのような想いがありますか?
これも「従業員と組織の両方のパフォーマンス」の1つで、従業員が憂いなく仕事に打ち込める環境が大事です。何のために仕事をしているのかといえば、自分を含めた家族の幸せのためというのが正常な姿だと思いますし、ライフステージの変化の中で、まずは家族を優先してほしいと思っています。
そのため、共済会*1事業も現状に合わせて見直しを行い、出産祝金の増額や入院時の補助条件拡大、育児休職支援金・還暦祝金・ゆとり休暇*2祝金の新設を実施しました。
また、直接的なサポートはもちろん、職場の意識改革も考えなければなりません。職場の仲間が休職するとなると負担が増えはするのですが、急病や介護で職場を離れる可能性は誰しもあります。お互い様の文化をつくるために、良い事例の共有やコミュニケーションの活性化を進めていきたいと考えています。
そのため、共済会*1事業も現状に合わせて見直しを行い、出産祝金の増額や入院時の補助条件拡大、育児休職支援金・還暦祝金・ゆとり休暇*2祝金の新設を実施しました。
また、直接的なサポートはもちろん、職場の意識改革も考えなければなりません。職場の仲間が休職するとなると負担が増えはするのですが、急病や介護で職場を離れる可能性は誰しもあります。お互い様の文化をつくるために、良い事例の共有やコミュニケーションの活性化を進めていきたいと考えています。
*1 共済会:従業員の福利厚生を目的に企業が設立・運営する組織
*2 ゆとり休暇:勤続年数10年以降、5年おきに3~10日付与される休暇


後編に続く
※本記事の内容はインタビュー当時のものです


