育児・家事・仕事の「三刀流」 産休・育休取得者に聞いてみた
厚生労働省の調査によると、第一子出産前後の女性の働き方のうち就業を継続する割合は約70%※1。
今や育児をしながら働く女性は過半数以上になっています。
実際に産休に入るまでの流れや育休中の悩み、復職して感じたことなどを経験者に聞きました。
「働くママ」の想い ~復職で目の当たりにする不安~
Q.
復職した今、率直な「働くママ」としての想いは?
A.
まず初めに、復職にあたり一般的に仕事と育児の両立がクローズアップされますが、復職間近になり自分はあの野球選手を超える、育児・家事・仕事の「三刀流」をしなければならないということに気付きました。
家事をしていても子供が小さいので「お母さん一緒に遊ぼう」と、なかなか家事をする時間が取れません。
育児と家事の両立、さらにこれらに仕事が加わってくることに、復職前は働いて育児・家事をする自分が想像できず不安を感じていました。
現在、復職して4カ月経ちましたが、育児時短勤務や在宅勤務など会社の制度を利用したり、周りの人からサポートをしてもらったりしながら、三刀流を頑張っています。
産休に入るまで ~コロナ禍での妊娠と業務引継ぎ~
Q.
産休に入るまで、上司とはいつから・どんなことを相談した?利用した制度は?
A.
妊娠が分かった早めの段階で上司に報告しました。その際に自分の担当業務を整理し、引き継ぎが必要な業務を伝えました。
職場では以前から業務の手順書を作成するという取り組みを行っていたため、スムーズに引き継ぎをすることができました。
妊娠中は、コロナ禍の真っただ中で感染のリスクが心配でしたが、週4日の在宅勤務、週1日の出社により安心して産休まで働けました。
幸いなことに妊娠中は悪阻も無かったため、仕事しながらも穏やかに妊娠生活を送ることができました。
また当社には、産休に入る前に休職中にすべきことや、復職した後のキャリアプランについて相談することができる「キャリアサポーター」という制度があります。私自身もキャリアサポーターに面談してもらうことで、産休前の不安を解消することができました。
産休・育休中の悩み ~初めての育児・保活に苦戦、育休延長~
産休・育休中の悩みは?復帰まではどうだった?
A.
穏やかな妊娠生活とは一転、怒涛の育児が始まりました。
赤ちゃんがこんなに寝ないとは聞いていない、何故夜中に泣くのか、何故ベッドに寝かせると起きるのか、何故こんなに小さいのに泣き声は大きいのか・・・。
一人目の子供だったため分からないことばかりで、出産後の数カ月間は毎日育児に必死でした。少しずつ夜泣きが減り、まとまって寝てくれるようになると、私も育児のリズムを掴むことができました。
しかしだんだん育児に慣れてくると、夫以外誰とも話していない、社会に取り残されていると感じる日が増えてきました。その中で約3カ月に1回、上司とリモートで面談し職場の状況を教えてもらったり、職場の人と話したり、また社内報を見ることが育休中の楽しみの一つでした。
また、保育園探し「保活」には苦労しました。
まず4月以外の途中入園ができない保育園がほとんどだったので、1年での復帰ができず、育休を延長しました。
6~7つの保育園を見学しましたが、保活の激戦区だったため希望が必ずしも通るとは限らないと聞き、車での送迎も視野に入れ、ペーパードライバーでしたが車の運転も練習しました。
2歳前でやっと条件に合う保育園があり、職場復帰ができました。
復帰してから ~家でも仕事でもタイパ重視~
復帰してからの働き方は?利用している制度は?
A.
現在私は、育児短時間勤務(6時間勤務)と在宅勤務の制度を利用しています。
夫が出社の多い職種であり、基本的に平日はワンオペなので、制度を最大限利用しており、おかげで平日でも育児や家事の時間をしっかり確保できています。
育児短時間勤務は子供が小学校3年生まで、育児フレックスタイム勤務は子供が小学校6年生まで利用でき、長い目で社員の育児を支援する制度があるのは大変ありがたいです。
育児短時間勤務を利用すると仕事をする時間がぎゅっと短くなります。
その中で「〇分でこの仕事をしよう」「この仕事は優先的に仕上げよう」など、時間や効率を以前よりも意識しながら仕事をするようになっています。
効率的に時間を使って効果・満足感を得る、まさに「タイパ」です。仕事でも家でもタイパを無意識に考えるようになっています。
出社は週に1回。在宅勤務では職場の人と雑談ができないので、出社した時はちょっとした時間で雑談したり、食堂で同僚とバランスの取れたおいしい昼食を食べたりするのが楽しみとなっています。
仕事に対する想い ~支え合いで今後サポートできる立場に~
Q.
現在感じていることやこれからについて
A.
子供が保育園に入ってから4カ月が経ち、成長が著しく喜ばしい面はもちろんありますが、集団生活により風邪で高熱を出す頻度も多くなりました。その度に発熱で苦しむ子供も見て、こんな小さい年齢から預けて良かったのか、仕事も同僚にカバーしてもらわなければならない心苦しさなど、働く楽しさを感じつつもその葛藤も抱えながら働いています。
現在、産前から復帰後まで、会社のさまざまな制度を利用していますが、これらは仕事をカバーしてくれている人がいるからこそ利用できるものであり、職場の人にはいつも本当に感謝しています。
育児が落ち着いたら自分もサポートする立場になるとともに、これまでの経験談を今後産休・育休に入る方に伝えるなどして、貢献できたらと思います。
<参考>
▶ 働きやすさ・働きがい向上(育休取得率・両立支援制度)
▶ 女性育休取得者座談会
▶ 男性育休取得者座談会
※1 令和5年 厚生労働省 第一子出産前後の妻の継続就業率調査