気候変動への対応
「気候関連財務情報開示タスクフォース
(TCFD)」※提言に基づく開示情報
当社は、2021年3月5日にTCFD提言への賛同を表明しており、TCFD提言の要求項目(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)に沿って、気候変動に関する情報開示を行います。

※TCFD: | 金融安定理事会(FSB)により設立されたタスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)。気候変動を「リスク」と「機会」として捉え、温室効果ガスによる気温上昇が企業財務に与える影響を開示することを提言し、政府機関、金融機関、企業に対して賛同を呼び掛けています。 |
ガバナンス
当社グループでは、気候変動への対応を経営の最重要課題の一つと位置付けて、気候変動に大きな影響を及ぼす温室効果ガス排出量の削減を目指し、環境配慮製品の開発、社内での省エネ推進などの取り組みについて、社長を委員長とする「全社SDGs委員会」を定期的に開催し、積極的に推進しています。
「全社SDGs委員会」は、気候変動を含むサステナビリティに関する当社グループのマテリアリティ(重要課題)を決定したうえ取り組みを統括し、その進捗状況や課題事項について取締役会・常務会に報告しています。取締役会・常務会はこれら報告を審議し、「全社SDGs委員会」に指示・指導することで適切に監督しています。
※コーポレートガバナンス体制につきましては、「コーポレートガバナンス報告書」を参照ください。

戦略/リスク管理
当社の中長期計画「VISION2025」の成⻑戦略に気候変動リスク・機会への対応(施策)を統合し、全社的にリスクの最小化、機会の最⼤化に取り組む体制の強化を行います。
【将来的な気候関連リスクおよび機会への影響評価】
現在、認識しているリスクを踏まえ、さまざまな気候変動リスク(移⾏リスク、物理リスク)が当社事業に与える可能性を検討し、重要なリスクと機会が、当社の各事業に重要な財務影響を与える可能性を定性的に評価しております。
初年度である今回、日新電機グループの中核である電力・環境システム事業において財務影響が大きいと定性的に評価したリスク・機会は表の通りです。
キードライバー | 特定された重要な 気候変動リスクの説明 |
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移 行 リ ス ク |
政策および法規制 | 温室効果ガス排出規制の強化や炭素税等、エネルギー消費への課税 |
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技術 | 環境配慮製品に関する技術⾰新の進展 |
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市場・評価 | 気候変動対応への取り組み姿勢や資源価格の上昇 |
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物 理 リ ス ク |
急性的 | 台⾵、洪⽔の激甚化 |
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機会要因 | 機会の説明 | ||
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機 会 |
エネルギー源 | 再生可能エネルギー⽐率を向上させる企業の増加 | 再⽣可能エネルギーを導⼊する企業の増加に伴う関連製品・サービスの需要増加 |
分散型社会への移行 | スマートグリッド関連市場の拡⼤に伴う、 関連製品・サービスの需要増加 |
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製品および サービス | 産業・自動車分野における電動化の 拡大 |
電動化に伴う関連事業の拡大 | |
異常気象の増加 | BCP関連機器・サービスの需要増加 | ||
脱炭素推進に伴う製品の高効率化需要の増加 | ⾼効率製品の需要増加 |
指標と目標
サプライチェーン全体でのCO2排出量と削減率(国内グループ+海外グループ)

t-CO2: | 二酸化炭素トン。温室効果ガスの排出量を表す単位。 |
算定方法: | 環境省・経済産業省「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル(Ver.4.8)」(2022年)による(ただし、排出係数に関しては以下参照) |
排出係数に関する基本方針: | 購入電力については算定時点で入手できる最新の排出係数を使用し、購入電力以外については排出係数を固定して使用 |
購入電力のCO2排出係数: |
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購入電力以外のCO2排出係数: |
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データ対象範囲: | 2021年度は日新電機(株)、および、(株)NHVコーポレーション、(株)日新ビジネスプロモート、日新電機商事(株)、(株)日新システムズ、日新イオン機器(株)、日本アイ・ティ・エフ(株)、日新パルス電子(株)、日新ハートフルフレンド(株)、(株)オーランドの国内グループ会社9社と、日新電機タイ(株)、NHV America Inc.、日亜電機股份有限公司、日新電機(無錫)有限公司、北京宏達日新電機有限公司、日新(無錫)機電有限公司、日新電機ベトナム(有)、日新高性能塗層(瀋陽)有限公司、日新高性能塗層(天津)有限公司、Nissin Advanced Coating Indo Co., Private Ltd.、日新馳威輻照技術(上海)有限公司、日新電機ミャンマー(株)の海外グループ会社12社、2020年度までは日新意旺高科技(揚州)有限公司を含む |
温室効果ガス排出量削減について、当社グループは、2030年度に2018年度比で35%削減(Scope1+2)、30%削減(Scope3)という長期目標を策定し、国際的な環境団体であるSBTイニシアチブ(SBTi:Science Based Targets Initiative)※から科学的根拠に基づいた目標として認定を受けています。

※SBTイニシアチブ: | 科学的根拠に基づいた温室効果ガス削減の中長期目標設定を推奨している国際的イニシアチブ(団体)。 |
【目標達成に向けた主な活動】
環境配慮製品の開発や環境に配慮した生産体制を構築し、各分野で取り組みを展開します。
《環境配慮製品の開発・拡販》
① | SPSS®(スマート電力供給システム) 電力機器と系統連系技術を駆使し、お客様の工場の省エネシステムを構築します。主力製品であるガス絶縁開閉装置(GIS)、変圧器などの機器や分散型電源、エネルギー管理システムを組み合わせて省エネと電力の安定供給を実現します。 |
② | 変圧器 従来の変圧器に比べ電力損失を低減させた超高効率変圧器を拡販していきます。 |
③ | GIS(ガス絶縁開閉装置) 当社の強みであるコンパクト化を実現しつつ、SF6ガス使用量削減に向けたGISを開発します。 |
④ | イオン注入装置 半導体デバイス・FPD(フラットパネルディスプレイ)の高性能化と低消費電力化に貢献するイオン注入装置の実現に取り組みます。 |
⑤ | EPS(電子線照射装置) SF6ガス排出量低減要求に対して、お客様のニーズをつかみ製品開発を進め、環境配慮型EPSを市場へ提供します。 |
《温室効果ガス排出量削減に向けた取り組み》
① | 社内炭素価格の導入(インターナルカーボンプライシング:ICP) 生産活動における省エネを推進し、温室効果ガス削減を目的とする設備投資に対して社内炭素価格を設定し、CO2排出量を仮想的に費用換算することで、CO2排出量削減に資する設備投資を促進します。 |
② | サプライチェーンにおける省エネ診断 サプライチェーンの省エネ診断を行い、省エネや温室効果ガス低減に向けた具体的な対策を提案し、CO2削減活動を推進します。 |
温室効果ガス排出抑制
サプライチェーン排出量の算定
「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドラインVer.2.4」(環境省・経済産業省発行)に基づき、海外グループ会社を含めた当社グループのサプライチェーン全体での温室効果ガス排出量の算出を行っています。
サプライチェーン全体でのCO2排出実績
計1,484,000t-CO2(2021年度、国内グループ+海外グループ)

データ対象範囲: | 日新電機(株)、および、(株)NHVコーポレーション、(株)日新ビジネスプロモート、日新電機商事(株)、(株)日新システムズ、日新イオン機器(株)、日本アイ・ティ・エフ(株)、日新パルス電子(株)、日新ハートフルフレンド(株)、(株)オーランドの国内グループ会社9社と、日新電機タイ(株)、NHV America Inc.、日亜電機股份有限公司、日新電機(無錫)有限公司、北京宏達日新電機有限公司、日新(無錫)機電有限公司、日新電機ベトナム(有)、日新高性能塗層(瀋陽)有限公司、日新高性能塗層(天津)有限公司、Nissin Advanced Coating Indo Co., Private Ltd.、日新馳威輻照技術(上海)有限公司、日新電機ミャンマー(株)の海外グループ会社12社 |
オフィスにおける省エネ活動
当社では、以下のような省エネ活動を推進しています。
■ | 照明のLED化 |
■ | 昼休憩時の消灯 |
■ | 「ECOワークの日」の推進(定時退社・職場消灯) |
■ | 付帯機器の省エネ運転 |
■ | 「クールビズ」「ウォームビズ」の実施 など |
オフィスのエネルギー使用量と原単位(国内グループ)

データ対象範囲: | 日新電機(株)、および、(株)NHVコーポレーション、(株)日新ビジネスプロモート、日新電機商事(株)、(株)日新システムズの国内グループ会社4社 |
輸送におけるCO2排出量削減活動
当社の運輸グループでは、駐車時のアイドリングストップなどエコドライブの実施、輸送量の低減やCO2算出乗数の低いトラックの採用ほか、積み込み効率を上げて配車する台数を減らす活動を通じてCO2排出量の削減に取り組んでいます。
輸送におけるCO2排出量と原単位(国内グループ)

データ対象範囲: | 日新電機(株) |
「CO2排出量ゼロ」を目指す取り組み
日新アカデミー研修センターと日新倶楽部嵯峨野荘では、エネルギー起源の「CO2排出量ゼロ」を目指すゼロ・エミッション化に取り組んでいます。
建物には高効率空調などの環境配慮型設備を導入しているほか、直流配電技術や自己託送技術の活用による太陽光発電の余剰電力の有効利用など、当社グループの先進技術の活用による使用電力の削減を実施しています。


社外からの評価
京都市「事業者排出量削減計画書制度」優良事業者に認定
京都市地球温暖化対策条例に基づき、一定規模の温室効果ガスを排出する特定事業者の自主的な排出削減を目的とした「事業者排出量削減計画書制度」において、当社は、第一計画期間(平成23~25年度)、第ニ計画期間(平成26~28年度)、第三計画期間(平成29~令和元年度)と、3期連続で優良事業者として表彰を受けています。
環境配慮製品の普及拡大と創出
環境配慮製品の普及拡大
「エコマインド製品」の基準制定と製品登録の推進
当社グループでは、環境配慮製品の開発強化のため、製品の開発・設計段階で、環境側面の評価を含んだ製品アセスメントを実施する「エコマインド製品」の製品基準を制定し、製品登録を進める体制づくりに取り組んでいます。
評価における主な環境側面
①資源の節約
②環境影響評価(生産時、使用時)
③製品含有化学物質評価
④廃棄処分時の環境負荷低減
自社による「環境ラベル」認定製品
当社グループでは、独自に定める環境配慮項目に一つ以上該当し、温室効果ガス排出量が2000年度比で20%以上、50%以上低減した製品を「エコ製品」、「スーパーエコ製品」と認定して環境ラベル(タイプⅡ)を表示するほか、2018年度比を評価基準とした環境ラベルも新たに発行し、さらなる環境ラベル製品の普及で環境負荷低減に貢献していきます。

環境ラベル認定製品一覧
認定年月 | 適用製品 | |
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エコ製品 (14製品) |
2007年5月 | 低圧用瞬時電圧低下対策装置UNISAFE |
2007年6月 | ディジタル形変圧器保護継電器 (DU1-2T11~2T31 DC110V 8.7A 50/60Hz) |
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2009年8月 | I型コントロールセンタ(200/400V,1250A以下) | |
2013年5月 | 太陽光発電用パワーコンディショナ (SPM100-CS1A, SPM100-CS2A, SPM250-CS1) |
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2013年8月 | 縮小形スイッチギヤ(6.6kV 1200A以下) | |
2014年9月 | 3φガス絶縁接地形計器用変圧器(SVTR-12C) | |
超縮小形ガス絶縁開閉装置XAE7(72/84kV 1200A) | ||
縮小形ガス絶縁開閉装置XAE2G(24kV 630A) | ||
2016年9月 | D1U形高調波リレ-(DC110V) | |
2018年8月 | SJ系調相設備自動制御装置 | |
2018年10月 | NS型T87比率差動リレー(NS-3T25) | |
2020年9月 | SJ系転送トリップ装置(DC110V) | |
2022年3月 | SJ系二重母線保護リレー装置 | |
J系並列コンデンサ保護リレー | ||
スーパー エコ製品 (12製品) |
2013年9月 | D1U型スポットネットワークリレー(DC110V) |
2014年9月 | 1φガス絶縁接地形計器用変圧器(SVR-14A) | |
非保護地域用コンデンサ形計器用変圧器(PDL-20F) | ||
保護地域用コンデンサ形計器用変圧器(PDB-14F) | ||
保護地域用コンデンサ形計器用変圧器(PDB-17F) | ||
保護地域用コンデンサ形計器用変圧器(PDB-20F) | ||
保護地域用コンデンサ形計器用変圧器(PDB-25F) | ||
D1U型電圧調整(#90)リレー(D1UVR-41) | ||
2016年2月 | J系SC保護リレー | |
2020年3月 | SJ系ディジタル形自動復旧装置 | |
2020年5月 | 太陽光発電用パワーコンディショナ (SPM250-CS1B, SPM500-CS1B, SPM660-CS1B, SPCS500-1, SPCS660-1, SPCS750-1, SPCS1000-1) |
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2021年2月 | 1φECOガス絶縁接地形計器用変圧器(GVR-14A) |

対策装置 UNISAFE


コンデンサ形計器用変圧器
