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業界初!自動車エンジン部品用DLC膜「HC-DLC」を開発 ~従来のDLC膜では不可能であった耐焼き付き性・耐摩耗性を実現~

日新電機株式会社(本社:京都市右京区、社長:齋藤成雄)の子会社である日本アイ・ティ・エフ株式会社(本社:京都市南区、社長:芝原和人)は、自動車エンジン部品の一つであるピストンピンの表面コーティングに最適なDLC(Diamond-Like Carbon)膜「HC-DLC」を業界で初めて開発しました。2019 年7月より販売を開始します。

 

自動車の電動化は今後急速に進む見通しですが、2050年時点でもエンジンとバッテリーを組み合わせた車両が大多数を占め、エンジンを搭載する車両は現在よりも増えることが予想されています。このためエンジンの小型化・高効率化はますます加速しています。エンジンの効率化のため、過給圧を上げようとすると、DLCをコーティングしたピストンピンに過大な圧力がかかり、焼き付きが生じやすくなります。また最近では、ディーゼルエンジンの他にガソリンエンジンのピストンピンにもDLC膜が採用され始めましたが、オイルに一般的に使用される添加剤MoDTCと反応して異常摩耗するなどの課題もあります。このため耐焼き付き性、耐摩耗性の高いDLC膜が求められています。

 

そこで当社は、グラファイトや金属などの固体を原料としてプラズマ化し蒸着する「PVD法」とメタンやアセチレンなどの気体を原料としてプラズマ化し蒸着する「CVD法」を組み合わせた新たなDLC膜「HC-DLC」を開発しました。従来のDLC膜では不可能であった、耐焼き付き性を従来CVD-DLC対比1.6倍、耐摩耗性は2.4倍以上を実現しました。

 

このHC-DLCをコーティングしたピストンピンは大型ディーゼルエンジンに採用され、今夏から量産予定です。本技術はエンジン部品だけでなく、焼き付きや摩耗がより厳しくなるギアや駆動系部品、燃料系部品にも最適であり、自動車以外にも機械部品や金型など広く展開を図っていきます。

 

今回の開発品は、2019年5月22日(水)~24日(金)にパシフィコ横浜で開催される公益社団法人自動車技術会主催の「人とくるまのテクノロジー展」に出展いたします。また展示会と同時開催される自動車技術会「2019年春季大会」において、5月23日(木)に技術的な詳細を発表いたします。展示会とあわせて、是非聴講いただきますようお願いいたします。

 

<ご参考>

■用語解説

・ピストンピン

ピストンとコンロッド(コネクティングロッド)を連結するピン。中空円環構造となっている。

・DLC

Diamond-Like Carbon(ダイヤモンドライク カーボン)の略称。アモルファス状硬質炭素膜の総称。グラファイト構造とダイヤモンド構造に近い構造で構成されるため、高硬度で滑り性がよく、摺動部品に広く使用されている。

 ・過給圧

過給機により内燃機関へ強制的に送り込まれる圧縮された空気(過給)の圧力のこと。ブースト圧とも言われ、自動車分野においては単にブーストと称されることもある。過給圧が高くなり過ぎると、ノッキングが発生し、ガソリンエンジンを損傷することもある。ディーゼルエンジンではノッキングが発生しづらいため、ターボチャージャーとは一般的に相性が良いとされている。

・MoDTC

Molybdenum Dithiocarbamate(モリブデン ジチオカルバメート)の略称。エンジンオイル中に混合される添加剤の一種で、摩擦を下げるための摩擦調整剤。

・PVD法

Physical Vapor Deposition(物理的気相蒸着)の略称。グラファイトや金属などの固体を原料としてプラズマ化し、蒸着する方法。

・CVD法

Chemical Vapor Deposition(化学的気相蒸着)の略称。メタンやアセチレンなどの気体を原料としてプラズマ化し、蒸着する方法。

 

■日本アイ・ティ・エフの概要

会  社  名 日本アイ・ティ・エフ株式会社
本  社 京都市南区久世殿城町575番地
代  表  者 代表取締役社長 芝原 和人
設  立 1985年
資  本  金 31,000万円(日新電機株式会社:51%、住友電気工業株式会社:49%)
従  業  員 130名(2019年3月末時点)
事業内容 セラミックコーティングの受託加工および各種薄膜コンサル業務成膜装置製造販売

■人とくるまのテクノロジー展 開催概要

公式サイト  https://expo.jsae.or.jp/
会   期 5月22日(水)~24日(金)
時   間 10:00~18:00(24日は10:00~17:00)
会   場 パシフィコ横浜・小間番号229

■2019年春季大会 開催概要

公式サイト  https://www.jsae.or.jp/2019haru/index.html
会   期 5月22日(水)~24日(金)
会   場 パシフィコ横浜
【当社発表の詳細】
内   容 「MoDTCを含むエンジンオイル中におけるta-C:H膜の摺動特性」
発 表 者 大城 竹彦・三宅 浩二(日本アイ・ティ・エフ)
日   時 5月23日(木)9:30~11:35
場   所 パシフィコ横浜 会議センター501(5F)
備   考 聴講は参加登録と登録費が必要となります。
※会場でも登録できますが下記より事前登録が可能です
 https://www.jsae.or.jp/2019haru/attend.html

 

[本件に関するお問い合わせ]

〒615-8686 京都市右京区梅津高畝町47番地
日本アイ・ティ・エフ株式会社 技術開発部  (075)873-2161

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