ニュースリリース
国内初 太陽光発電の自己託送を自動運用するEMSを開発 ~自家消費太陽光発電の新たなソリューションとして販売開始~
日新電機株式会社(本社:京都市右京区、社長:齋藤成雄)は、国内初(日本国内での自己託送実証事業などにおいて2020年7月当社調べ)となる太陽光発電の自己託送を自動運用するEMSを開発し、新たなソリューションとして2020年7月より販売開始しました。
太陽光発電の余剰電力活用により環境価値を高めることに加えて、自己託送運用に関するさまざまなオペレーションや制御を自動化して運用労力も低減できる、自家消費太陽光発電の新たなソリューションです。
自己託送とは、自家発電した電力を電力会社の送配電網を使って離れた自社拠点へ託送できる制度です。
近年、CO2排出量削減に向けて自家消費型の太陽光発電の導入を検討されるお客様が増えています。しかし、休日などの軽負荷時に生じる余剰電力の活用が課題としてあります。この余剰電力を自己託送し、離れた自社拠点で活用するためには、さまざまなオペレーションや制御が必要なため、人力で行うには大変な労力がかかります。また、太陽光発電のみで実現するのは困難で、一般的には蓄電池などの調整電力が必要となります。
今回ご提供するのは、これらの課題を解決するソリューションです。余剰電力を自己託送により無駄なく使うことで、さらなる再エネ比率の向上、CO2排出量削減、電力コストの削減につなげ、企業の環境価値を向上させることが可能です。また、敷地が狭く発電設備を設置できなくても遊休地などの土地の広い離れた場所(サテライト拠点)を利用した託送にも期待できます。
今回開発したPV(太陽光発電)自己託送対応EMSは、「ENERGYMATE®-Factory」の新機能として提供します。当社では、自家消費太陽光発電システムと組み合わせたシステム提案などにより、お客様の課題を解決するソリューションとして提供していきます。PV自己託送対応EMSの特徴は以下の通りです。
【PV自己託送対応EMSの主な特長】
1.<国内初> 煩雑な太陽光発電の自己託送運用を自動化し、運用労力を大幅に低減
太陽光発電の自己託送をする場合、あらかじめ余剰電力量を予測して託送計画を立案し、日々電力広域的運営推進機関に対して計画値の提出や更新を行う必要があります。更には計画値同時同量となるように制御する必要があり運用には非常に労力を伴いますが、PV自己託送対応EMSはこれら全ての作業の自動化を実現しました。太陽光発電による自己託送運用の自動化は国内初となります。
2.不安定な太陽光発電のみでも自己託送を実現
一般的に太陽光発電は発電量が変動するために託送計画の立案が困難ですがPV自己託送対応EMSは、太陽光発電の余剰電力を予測し、予測データに基づく託送計画の立案が可能です。変動によって余剰電力が計画値を上回りそうな場合は、蓄電池などの調整電力がない環境でも、リアルタイム制御で太陽光発電の出力を抑制し、計画値同時同量となるように制御します。蓄電池、発電機があれば、それを調整電力にすることも可能です。
持続可能な社会の実現に向けてCO2排出量削減に取り組む企業が増加する中、国際的には自社保有の再生可能エネルギーを自家消費する方法が評価されています。太陽光発電の自己託送は、環境価値向上を実現する有効なソリューションであり、「ENERGYMATE-Factory」の新機能となるPV自己託送はその実現に貢献できる製品です。
当社はこれまで多様な分散型電源の最適制御機能やVPP機能を搭載したEMSである「ENERGYMATE-Factory」を開発してきました。今回、自己託送に対応したものをラインアップすることで、今後もEMSを中心としたさまざまなソリューションを提供し続けます。
「ENERGYMATE-Factory」自己託送対応の仕組み
(クリックで拡大表示)
発電拠点で余剰となった電力を需要拠点に託送を行います。EMSの役割は、発電量予測・需要予測から託送計画を立案、電力広域的運営推進機関へ提出し、提出した計画通りに託送が行われるよう、同時同量制御を行うことにあります。
画面イメージ
(クリックで拡大表示)
参考資料
当社研修センターにおける実証
当社では、2019年6月より研修施設の「日新アカデミー研修センター」でSPSS®の新たな実証として「自家消費太陽光発電ソリューション」を実施しています。これは、太陽光発電の「自家消費」と、余剰電力を自社拠点へ供給する「自己託送」を組み合わせることで、太陽光発電電力の最大限活用を目指す、当社の新たなソリューションです。
研修センターでは、「ENERGYMATE-Factory」を活用し、100kWの太陽光発電の余剰電力を一般送配電事業者の送配電網を通じて隣接する本社工場へ供給しています。これにより太陽光発電の余剰電力を有効活用するとともに環境負荷軽減に貢献しています。
自家消費太陽光発電ソリューションの詳細
【用語解説】
・EMS
エネルギー消費量のモニタリングや省エネ行動を喚起するための見える化、空調・照明などの省エネ制御、分散型電源の制御など、節電・省エネに関する機能を持ったシステムの総称です。一般的にEMS(Energy Management System)と呼ばれ、ビル向けのBEMS(Building Energy Management System)、工場向けのFEMS(Factory Energy Management System)、水処理向けのWEMS(Water Energy Management System)、家庭向けのHEMS(Home Energy Management System)などに分類されます。
・SPSS
Smart Power Supply Systemsの略です。当社の中核製品である受変電設備や、長年培った系統連系技術を駆使し、多様な分散型電源を組み合わせて省エネと電力の安定供給を実現するソリューションです。
・自己託送
自家用発電設備を設置する者が、当該自家用発電設備を用いて発電した電気を一般電気事業者が維持し、および運用する送配電ネットワークを介して、当該自家用発電設備を設置する者の別の場所にある工場等に送電する際に、当該一般電気事業者が提供する送電サービスです。
・計画値同時同量・インバランス
電力系統安定化のためには、「計画値同時同量」が必要です。発電側・需要側の双方で、計画と実績を30分単位で一致させなければなりません。計画と実績の過不足をインバランスといい、発生量に応じて対価の支払いが必要になります。
・ENERGYMATE-Factory
受変電設備に太陽光発電、CGS(コージェネレーションシステム)、蓄電池などの多様な分散型電源を組み合わせて最適に制御するエネルギー管理システムです。「予測」「数理計画による最適化」「リアルタイム制御」の技術を駆使したもので、太陽光発電量や負荷需要を予測し、これらの予測情報と設備稼働状況ならびに目標電力や分散型電源の設備特性など、複雑な運用条件を満足しながら、エネルギーコストが最小となるように分散型電源の運用計画を立案して制御します。CGS、蓄電池など、複数の分散型電源を設置するような場合には、設備管理者は最適な運用を維持するために、複雑な運用条件を考慮しながら、設備ごとに運用パターンを設定する必要がありますが、本製品は分散型電源の運用を全て統合することで設備管理者にとっての運用負担を軽減するとともに「エネルギーコスト最小運用」「ピークカット運用」「余剰電力活用」「BCP対策」などの運用に適用することができます。
・電力広域的運営推進機関
電源の広域的な活用に必要な送配電網の整備を進めるとともに、全国大で平常時・緊急時の需給調整機能を強化するため、電力システム改革の第1段階として2015年4月に創設されたものです。以下の3つを主な役割とされています。
①全国大での平常時・緊急時の需給調整機能の強化
②全国大での短期的・中長期的な電力の安定供給の確保
③電力系統の公平・公正かつ効率的利用の推進
【関連リンク】
自家消費太陽光発電ソリューション: https://nissin.jp/spss/factory/solution.html
エネルギー管理システム: https://nissin.jp/product/newenergy/control/index.html
[本件に関するお問い合わせ]
こちらのフォームよりお問い合わせください
ニュースリリース一覧に戻る