ニュースリリース

ポータブルタイプのインバータパルス発生器を新開発 ～既存装置比で質量・サイズ約1/6の小型化を実現～

日新電機株式会社（本社：京都市右京区、社長：松下芳弘）のグループ会社である日新パルス電子株式会社（本社：千葉県野田市、社長：宇都宮伸宏、以下 日新パルス電子）は、電気自動車（EV）のモータ配線材料（マグネットワイヤ）などの絶縁評価試験に使用される「インバータパルス発生器」のポータブルタイプを新開発しました。質量・サイズともに既存装置比約1/6と大幅な小型化を実現、手軽に絶縁評価試験が行えるため、EV技術の開発推進に寄与できます。

当社グループは中長期計画「VISION2025」において、6つの成長戦略に取り組んでいます。本件は「EV拡大に伴う事業拡大」に寄与する事業活動の一つです。

EVはモータをインバータ駆動することで動力を得ます。このインバータのスイッチング動作（ON/OFF）に起因して、瞬間的にかかる過大電圧であるサージ電圧（インバータサージ）が発生することで、モータ内部で故障の要因となる部分放電が生じます。EVのバッテリー電圧は高電圧化の傾向にあり、急速充電・高出力・高効率化などのメリットがある一方、デバイスやモータの絶縁耐力が必要になります。そのため、インバータサージを模擬した電圧波形（インバータサージ波形）を発生できるインバータパルス発生器での絶縁評価試験が重要視されています。しかし、既存装置は、質量約210kgと重くサイズも大きいため、簡単に装置を移動させることができず、試験場所が限定されてしまう問題がありました。

日新パルス電子は、手軽に絶縁評価試験を行いたいというお客様のニーズに対応するため、既存装置と比べ大幅な小型化を実現した持ち運びも可能なポータブルタイプのインバータパルス発生器を開発しました。コンセントプラグから電源供給（AC100V 5A）ができ、外部に持ち出すことができない開発製品などを移動させずに検証評価することが可能です。

CO₂の排出量削減策としてEVは必須となっており、世界的な普及拡大が期待されます。日新パルス電子は、本製品を通じて、脱炭素社会の実現に貢献していきます。

【ポータブルタイプのインバータパルス発生器の特長】

1.インバータサージ波形をモデル化（既存装置機能と同様）
・インバータサージ波形を出力でき､切り替え設定により､サージ波形の超過率や幅を変更可能。
・実際の設置環境に近似した、各種絶縁評価試験が実施可能。

2.持ち運び可能
・既存装置比で質量およびサイズで約1/6の大幅な小型化を実現。
・小型化により、導入しやすい販売価格を実現。

3.高機能化を実現
・自動昇圧機能の搭載、タッチパネル操作の高機能化と操作性向上を実現。
・立ち上がり時間30ns以下（100pF負荷時）の高速スイッチング化を実現。

【主要仕様比較】

	既存装置：PG-W03KP-A	開発品：PG-W03K-PORT
周波数	10Hz～100kHz	10Hz～10kHz
質量	（納入実績例：約210kg）	・操作・電源ユニット：約22kg ・波形発生ユニット　：約11kg　　　計 約33kg
サイズ	幅570×高さ1700×奥行800mm	・操作・電源ユニット：幅480×高さ300×奥行535mm ・波形発生ユニット　：幅480×高さ200×奥行535mm
外観写真		操作・電源ユニット 波形発生ユニット

＜参考＞

【用語解説】

・6つの成長戦略
「環境配慮製品の拡大」「分散型エネルギー対応」「再生可能エネルギー対応」「DXの製品・事業への適用」「新興国環境対応需要の捕捉」「EV拡大に伴う事業拡大」

・高電圧パルス
高電圧のパルス（非常に短い時間に変化する電圧）を印加すること。

・絶縁評価試験
耐電圧試験により、絶縁耐力を評価すること。

・部分放電
局所的な放電現象。絶縁を徐々に壊す放電現象。

・インバータ
直流の電圧や電流をスイッチのON/OFFを行うことで交流にする機器。

・インバータ駆動
インバータを利用して電圧や周波数を変えることで、機械を制御する方式をインバータ駆動という。

・マグネットワイヤ
電気エネルギーを磁気エネルギーに変換させるために使う巻線用電線（マグネットワイヤ）の総称。

・インバータパルス発生器
当社呼称。高電圧のインバータパルス回路を構築していることが由来。

・インバータサージ
インバータのスイッチングに伴い発生する急峻な過電圧のこと。インバータサージが部分放電発生の要因となり、絶縁劣化（モーター故障）に繋がる。

・EV車の駆動電圧
バッテリー電圧を指す。インバータモータを駆動させるための直流電圧のこと。

【会社概要】

・日新パルス電子株式会社

【関連リンク】

日新パルス電子株式会社： https://nissin-pulse.jp