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事業展開

ベトナム市場向けファインコーティングサービス事業を強化 ~コーティング装置追加導入で膜性能向上・膜種拡大・納期短縮~

日新電機株式会社(本社:京都市右京区、社長:松下芳弘)のグループ会社である日新電機ベトナム有限会社(本社:ベトナム、社長:寺尾薫 以下 NEV)は、ベトナム市場向けファインコーティングサービス事業を強化するため、PVDコーティング装置を追加導入しました。装置は2月から本格的に稼働開始しており、ベトナム地域の工具・金型ユーザーに対し、用途に合わせた最適なコーティング膜をより迅速に提供しています。

本件は、当社グループ中長期計画「VISION2025」における6つの成長戦略の内「新興国環境対応需要の捕捉」と事業基盤強化の一つである「生産性向上」に寄与する事業活動です。

 

ベトナムでは、従来の二輪車産業や電子機器産業に加え、近年、海外大手自動車メーカーの進出やベトナム発の自動車メーカーも立ち上がるなど、自動車の需要拡大も見込まれています。製造業の発展とともに、これらの生産に用いられる切削工具・金型の長寿命化によるコスト削減効果や、加工速度向上によるスループット向上、コスト削減効果への期待からコーティング技術が注目されています。NEVでは2020年7月よりベトナム市場向けコーティング受託サービス事業を開始しました。新型コロナウイルス感染症が収束してきた2022年4月以降、ベトナム経済の順調な回復を受けコーティング需要も増加しており、それら需要に応えるため装置を増設しました。

 

今回導入した装置は、同グループ会社である日本アイ・ティ・エフ株式会社(本社:京都市南区、社長:森口秀樹)が製造した「アドバンスドコーティングシステムM500D」です。新型蒸発源「ステアワン蒸発源」を搭載したことにより平滑で高品位なコーティング膜が形成できるため、切削工具や歯切工具、成型金型の耐摩耗性が向上し寿命を大幅に改善することができます。有効コーティング範囲もφ500×H600[mm]と従来比1.5倍となり、プレス金型などの大型基材への対応が可能となります。またコーティング設備増設により、窒化膜(TiN,AlTiN,AlCrN)やDLC膜など対応膜種の拡充と納期の短縮も実現しています。

 

【アドバンスドコーティングシステムM500Dの概要】

有効コーティング範囲:φ500×H600[mm]

蒸発源数:8源

成膜方式:陰極アーク式イオンプレーティング

 


PVDコーティング製品

 

今後も持続的な発展が期待されるベトナム市場でさらなる事業拡大を図り、日新電機グループを挙げてファインコーティング事業を強化していきます。

 

当社グループは事業活動を通して、SDGsへの取り組みを強化しています。本件はSDGsの17の目標の内、下記の目標達成に関連する活動です。

9.産業と技術革新の基盤をつくろう
12.つくる責任 つかう責任

 

<参考>

【用語解説】

・PVDコーティング

PVD はPhysical Vapor Deposition(物理的気相蒸着)の略称で、グラファイトや金属などの固体を原料としてプラズマ化し、蒸着する方法によるコーティング。

 

・6つの成長戦略

「環境配慮製品の拡大」「分散型エネルギー対応」「再生可能エネルギー対応」「DXの製品・事業への適用」「新興国環境対応需要の捕捉」「EV拡大に伴う事業拡大」

 

・事業基盤強化

「モノづくり力の強化」「生産性向上」「サプライチェーンの多重化」「人事戦略強化」「働き方改革」

 

・DLCコーティング

DLCはDiamond-Like Carbon(ダイヤモンドライク カーボン)の略称でアモルファス状硬質炭素膜の総称。グラファイト結合の炭素原子とダイヤモンド結合の炭素原子を併せ持つため、高硬度で滑り性がよく、非鉄金属加工用の切削工具や金型のほか、摺動部品に広く使用されています。

 

・窒化物コーティング

窒化物コーティングは、TiN(窒化チタン)やAlTiN(窒化アルミチタン)、AlCrN(窒化アルミクロム)がよく使用されており、主な用途は切削工具、成型金型、機械部品などです。特に切削工具で最もよく見る刃の部分に黄金色がついているもののほとんどがTiNです。コーティングを施すことで工具、金型、部品の寿命が飛躍的に向上します。

 

・蒸発源

コーティング原料を蒸発させる部分で、コーティング装置の膜質・生産性を大きく左右する成膜装置のいわば心臓部です。アーク方式は成膜速度が速く高融点金属でも蒸発させることができる長所があります。原理的に金属材料の溶けすぎによって粗大粒子(ドロップレット)が放出される問題点がありましたが、ステアワン蒸発源は磁場配置や蒸発条件を最適化し、この問題点を改善しました。

 

【会社概要】

・日本アイ・ティ・エフ株式会社

名  称 日本アイ・ティ・エフ株式会社
代 表 者 代表取締役社長 森口 秀樹(日新電機株式会社執行役員)
所 在 地 京都市南区久世殿城町575番地
設  立 1985年10月
事業内容 ファインコーティングサービスの受託並びにファインコーティング装置の開発、設計、製造、販売、据付工事・調整及びアフターサービス
従業員数 167人(2022年3月末時点)

・日新電機ベトナム有限会社

名  称 日新電機ベトナム有限会社(Nissin Electric Vietnam Co., Ltd.)
代 表 者 代表取締役社長 寺尾 薫
所 在 地 ベトナム バックニン省
設  立 2005年10月
事業内容 産業用装置・部品の設計、製造及び販売、電力用機器の製造・販売、並びにファインコーティングサービスの受託
従業員数 497人(2022年3月末時点)

【関連リンク】

日本アイ・ティ・エフ株式会社: https://nippon-itf.co.jp/

日新電機ベトナム有限会社: https://jp.nissinelectric-vietnam.vn/

 

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