ニュースリリース

風力向け変電所SCADA初納入、風車設備の監視制御と電力品質の安定稼働監視に寄与 ～産業向け中央監視制御システム「FACTMATE_®-s1 EX」に機能を付加～

日新電機株式会社（本社：京都市右京区、社長：松下芳弘）は、オフィスビルや工場などの電力機器の運用管理を行う産業向け中央監視制御システム「FACTMATE-s1 EX（ファクトメイト・エスワン イーエックス）」に、風力向け変電設備の監視制御機能を拡張したシステム「風力向け変電所SCADA（スキャダ）」を開発・販売し、2023年3月に初号機を納入しました。

当社グループは中長期計画「VISION2025」において、6つの成長戦略に取り組んでいます。本件は「再生可能エネルギー対応」に寄与する事業活動の一つです。

国内の風力発電市場は、陸上・洋上共に、再生可能エネルギー発電設備として太陽光発電と並ぶ主力電源としてさらなる市場拡大が見込まれています。当社は、風力向け変電所SCADAを開発し、2022年11月より販売を開始した「FACTMATE-s1 EX」に搭載することで、風力発電市場向け事業活動を強化しました。本開発により風力発電市場の売上拡大に寄与します。

【特長】

産業向け監視制御システム「FACTMATE-s1 EX」の持つ監視制御機能に加え、風力向け変電設備の監視制御に適した機能を拡充しています。

１．風力発電設備と電力系統の連系による設備全体の監視制御

風車の状態や発電状況の情報を収集し、監視画面に表示します。また、電力会社にも送信します。風車の発電を抑制する必要がある場合は、電力会社からの出力抑制指令を受信し、WindSCADA（ウインドスキャダ）に送信することで、発電電力制御を行います。

２．転送遮断信号による単独運転の防止

電力会社からの出力抑制指令とは別に、エリア間の送電で事故が発生した場合に、事故の波及防止のために瞬時に発電停止するシステムが必要です。転送遮断装置（親局装置）から通信回線を経由し、送信される調整信号を受信することで、発電設備に対して停止を出力し、単独運転を防止します。

３．電気現象記録機能による電力品質管理

自動オシロ、瞬時電圧低下検出、高調波記録などの機能により系統の安定運用や電力品質維持に必要な計測を行います。また、監視装置にインターネット接続することでWEB画面からデータをダウンロードし、個別のパソコンで電力品質データを分析することができ、電力品質の安定稼働監視に寄与します。

４．変電設備の予防保全

設置環境に環境センサを標準搭載し、周囲の温度・湿度のデータを取得します。環境データの分析と診断により変電所設備の故障予兆検知に寄与します。

風力向け変電所設備のシステム構成例

【仕様概要】

FACTMATE-s1 EX機能リスト(●機能拡張した項目)

＜参考＞

【用語解説】

・6つの成長戦略

「環境配慮製品の拡大」「分散型エネルギー対応」「再生可能エネルギー対応」「DXの製品・事業への適用」「新興国環境対応需要の捕捉」「EV拡大に伴う事業拡大」

・中央監視制御システム

電力機器の監視・制御を行い、安全・安心に設備を運用いただくためのシステム。状況の見える化のほか、省エネルギーや節電などの効率的なエネルギー活用にも貢献します。

・SCADA

Supervisory Control And Data Acquisition の略。受変電設備などの設備や装置情報を、一か所に集約し、遠隔から監視・制御するシステムのこと。

・WindSCADA

風車設備を対象とした監視・制御システムのこと。

・転送遮断装置

変電所遮断器の遮断信号を専用通信線や電気通信事業者の専用回線で伝送し、発電設備等設置者の連系用遮断器を動作させる装置。太陽光発電所や風力発電所などの系統連系に際し、配電線停止時の単独運転を防止する。

・単独運転

発電設備等が連系している系統が、事故等によって系統電源と切り離された状態において、連系している発電設備等の運転だけで発電を継続し、線路負荷に電力供給している状態のこと。

・電気現象記録装置

事故発生や瞬停発生前から事故復帰までの電圧・電流値や、リレーの動作接点等を記録する装置。

【関連リンク】

ビル・産業向け監視制御システム： https://nissin.jp/product/newenergy/build/index.html

ニュースリリース「産業向け中央監視制御システム「FACTMATE_®-s1 EX」販売開始」：
https://nissin.jp/news/230419/