ニュースリリース
リチウムイオン電池の異常を検知 複合環境センサシリーズ新製品販売開始 ~電池異常時の発生ガスを検知し蓄電池設備の安全性確保に貢献 ~
日新電機株式会社(本社:京都市右京区、社長:松下芳弘)は、複合環境センサシリーズのラインアップ機種として、リチウムイオン電池の異常検知に有用なガスセンサの販売を4月より開始します。
2015年3月より発売開始した複合環境センサは、工場・配電盤・電気室などに設置し温度、湿度、振動、塵埃、腐食などさまざまな環境データを測定するセンサシリーズです。「環境データの記録とリモート監視」および「空調機器の制御」ができ、シリーズ全体で累計4,000台以上の出荷実績があります。
現在カーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギーの普及・拡大の加速に伴い、ピークシフト対応に必要不可欠である蓄電池の大容量化と導入容量の急速な増加が見込まれています。一方、導入が先行している海外ではリチウムイオン電池の異常による火災事故が増加していることから、蓄電池の異常発生時に発生するガスや火災を検知し、外部へ警報を発する機能を設備に付加することがIEC(国際電気標準会議)やJIS(日本産業規格)に規定されています。
当社は、上記の設備安全性確保と規格準拠のニーズに対し、リチウムイオン電池異常発生時の発生ガス(水素・ハイドロカーボンなど)を検知する「複合環境センサ(ガス・通信)MES-92/93」を東京電力ホールディングス株式会社(本社:東京都千代田区、社長:小早川智明)と共同開発しました。共同開発における各社の役割としては、東京電力ホールディングス株式会社から蓄電池システム構築における製品利用ニーズや運用技術提供を受け、当社にて製品開発・販売を行っています。本製品は、設置環境を常時監視することにより、蓄電池の異常時の発生ガスを検知し外部通報することができます。
また、電気設備の過熱監視や環境監視の目的で3点の局所温度を測定し、温度上昇・異常リスクを検知する新製品「複合環境センサ(局所温度・通信)MES-72/73」も4月よりラインアップに追加しました。2製品を加えた複合環境センサシリーズで2024年度売上1億円を目指します。
今後もセンサ機能の拡充を図るほか、IoTを活用した設備メンテナンスの効率化に貢献し、お客様へさらなる安全・安心を提供します。
【複合環境センサ(ガス・通信) MES-92/93の特長】
(1) 発生ガス検出機能
ガスセンサとして空気清浄機などに豊富かつ長期間使用実績があり、電池異常時に発生する複数種のガスに対して感度のある半導体センサを採用しています。長期間ガスセンサを交換することなく使用が可能です。
また、特許出願中の独自アルゴリズムによるセンサ出力データ処理により、発生ガス検知精度を高めています。
(1) 外部通報機能
検知時にリレー接点より外部通報することができます。安価かつ容易に、規格で規定されている外部通報システムを構築することが可能です。
【複合環境センサ(局所温度・通信) MES-72/73の特長】
(1) 3点温度の一括監視
3点の温度センサ(サーミスタ)測定結果を有線接続(ケーブル長:2m)で一括監視。各点の温度差監視による過熱監視のニーズにも対応しています。
MES-92/93
MES-72/73
【複合環境センサシリーズ共通機能】
1.リモート監視機能
計測したデータを通信機能により自動収集・リモート監視が可能。通信方式は有線または無線タイプから選択。
2.データロギング
計測したデータを内部メモリに記録。記録したデータはUSB端子より出力でき、スタンドアロン機器としても使用可能。
3.簡単設置
センサ本体、サーミスタ部(MES-7S)共に軽量かつコンパクト。センサ本体およびサーミスタ部はDINレールに設置可能。
4.シリーズ共通統合アプリ
複合環境センサシリーズ全機種を一つのアプリでデータ表示・機器設定できる利便性向上に加えて、測定したセンシングデータの結果から設備状況を判断する一次診断機能を追加。
【仕様概要】
※突起部、サーミスタ、配線を除く
当社グループは中長期計画「VISION2025」において、6つの成長戦略に取り組んでいます。本件は「DXの適用」に寄与する事業活動です。
当社グループは事業活動を通して、SDGsへの取り組みを強化しています。本件はSDGsの17の⽬標の内、下記の⽬標達成に関連する活動です。
7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
参考
【用語解説】
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6つの成長戦略
「環境配慮製品の拡大」「分散型エネルギー対応」「再生可能エネルギー対応」「DXの製品・事業への適用」「新興国環境対応需要の捕捉」「EV拡大に伴う事業拡大」
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サーミスタ
熱を感知した際の抵抗値の変化を利用した温度センサ