ニュースリリース
下水処理場のさらなる省エネ化を実現する新技術を開発 ~日本下水道事業団との共同研究を完了~
日新電機株式会社(本社:京都市右京区、社長:松下芳弘)は、日本下水道事業団(以下 JS)との共同研究「下水処理場の運転管理におけるAI活用技術の開発-AI処理水質予測を活用した省エネ型曝気風量制御技術-」を、このほど完了しました(共同研究期間:2024年1月~12月)。
本技術は、AI処理水質予測技術(当社独自技術)と、アンモニア計による送気量フィードフォワード制御技術を組み合わせた新たな曝気風量制御技術であり、実証によって、処理水質を管理基準値内に収めながら、さらなる省エネ効果が期待できることを確認しました。
【研究成果の概要】
本共同研究では、下水処理場で実証実験を行い、AIによる処理水質予測の精度と、曝気風量の削減効果を検証しました。主な成果は以下の通りです。
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AI処理水質予測の高精度化
- 深層学習の一手法であるLSTM(Long Short-Term Memory)を採用することで、6時間後の放流水COD予測において予測精度98%以上(実証期間中の平均誤差2%以下)を実現
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曝気風量の削減効果
- 処理水質(NH4-N)の目標値を段階的に引き上げて風量制御を行い、曝気風量の削減と処理水質の安定化を確認
近年、下水処理場では持続的かつ安定的な運営や脱炭素化に向けた取り組みとして、運転管理の効率化や高度化が求められています。また、人口減少社会の到来によって、運転管理に携わる熟練技術者が将来的に減少する可能性もあります。
当社グループは、下水処理場の省エネ化および環境負荷の軽減、運用コスト削減に貢献するため、引き続きAI活用技術や運転制御技術の開発を進めていきます。

AI処理水質予測を活用した省エネ型曝気風量制御
当社グループは中長期計画「VISION2025」において、6つの成長戦略に取り組んでいます。本件は「環境配慮製品の拡大」「DXの製品・事業への適用」に寄与する事業活動の一つです。
当社グループは事業活動を通して、SDGsへの取り組みを強化しています。本件はSDGsの17の⽬標の内、下記の⽬標達成に関連する活動です。
6.安全な水とトイレを世界中に
7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
参考
【用語解説】
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曝気風量制御技術
下水処理場などで使用される曝気装置の送気量を制御する技術。曝気装置は、微生物が有機物などを分解するために必要な酸素を水中に供給する役割を担っています。この送気量を制御することによって、微生物の活動や処理プロセス全体の効率が調整されます。流入水の性質や量、外部の気象条件などを考慮して、最適な送気量を維持することで効率的な処理を実現します。
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AI処理水質予測技術(当社独自技術)
下水処理場の監視制御装置に保存されている過去の計測データを基に、AIで数時間後の放流水に含まれる化学的酸素要求量(COD)、全窒素含有量(TN)、全りん含有量(TP)の濃度を予測する技術です。今回の共同研究では放流水COD予測技術を活用します。
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アンモニア計による送気量フィードフォワード制御技術
アンモニア性窒素の流入負荷量に基づき送気量を制御するフィードフォワード制御と、反応タンク下流側のアンモニア窒素濃度と目標値の偏差から曝気量を補正するフィードバック補正の組み合わせで送気量を自動制御する技術です。
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LSTM(Long Short-Term Memory)
時間の経過に伴うデータの変化を学習し、未来の状態を予測するためのAI技術の一つです。
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COD
化学的酸素要求量(Chemical Oxygen Demand)の略称。湖沼や海域などの水の汚れ具合を示す指標です。
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6つの成長戦略
「環境配慮製品の拡大」「分散型エネルギー対応」「再生可能エネルギー対応」「DXの製品・事業への適用」「新興国環境対応需要の捕捉」「EV拡大に伴う事業拡大」