ニュースリリース
分路リアクトルの国内生産累計1,000台を達成 ~低騒音・低損失化で信頼性を追求~
日新電機株式会社(本社:京都市右京区、社長:西村陽)は、10月、1960年に日本国内市場向けに生産を開始した分路リアクトル(ShR:Shunt Reactor)の国内生産累計1,000台を達成しました。
ShRは、変電所設備として電力系統と並列に接続される電力機器です。電力系統では、電線と大地との間にある「対地静電容量」が大きくなると「進み無効電力」と呼ばれる電力が生じ、電力系統の電圧が上昇する現象が起きます。ShRは、この「進み無効電力」と逆の性質を持つ、「遅れ無効電力」を供給することができるため、電力系統に接続することで無効電力のバランスが保たれ、電力系統の電圧の安定化に寄与します。当社はこれまで、国内の各電力会社や再生可能エネルギー事業者をはじめとする多くの需要家の皆様からの信頼を得ることで、今回の生産累計達成に至りました。
国内電力会社では1950年代後半からの電力需要急増により、調相設備として、進み無効電力を供給する電力用コンデンサとともに、遅れ無効電力を供給するShRが求められていました。当社は1960年にShRの生産を開始し、特別高圧の電圧帯に納入を開始するとともに、低損失・低騒音への技術変遷を重ねてきました。1980年に開発した高占積率ラジアルコア形鉄心を適用したShRは、当社独自の技術改良により、低損失と低騒音・低振動化を両立し現在に至っています。その後も容量が可変できる可変容量形や、高圧の電圧帯6kV系統に対し、遅れ位相の無効電力が供給可能な遮断器一体型など、オリジナリティのある製品群を展開しています。
脱炭素化や再エネ導入拡大に伴い、電力系統の安定性確保はますます重要になっています。当社はShRに加え、変圧器やコンデンサなどの電力機器についても、より幅広いニーズへの対応を進め、電力系統の安定に貢献していきます。

1000台目となる分路リアクトルを囲んで記念撮影
当社グループは中長期計画「VISION2025」において、6つの成長戦略に取り組んでいます。本件は「DXの適用」に寄与する事業活動です。
当社グループは事業活動を通して、SDGsへの取り組みを強化しています。本件はSDGsの17の目標の内、下記の目標達成に関連する活動です。
7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
参考
【用語解説】
-
分路リアクトル(ShR: Shunt Reactor)
電力系統に並列接続されるリアクトルで、遅れ無効電力を供給することにより、送電線などが持つ進み無効電力(系統対地容量)を補償し、電圧の過剰な上昇を抑えて系統電圧の安定化に貢献する電力機器。
-
対地静電容量
電力系統を構成する送電線や機器の導体と大地との間に生じる静電容量。送電線が長くなるほどこの容量は大きくなり、系統電圧が上昇する原因となる。
-
静電容量
対向する電極間に電圧を印加した場合に電荷を蓄える能力。
-
進み無効電力
コンデンサや対地静電容量から供給する無効電力で、電圧が電流より先に進む特性を持ち、電圧を上昇させる方向に働く。
-
遅れ無効電力
リアクトルが供給する無効電力で、電流が電圧より遅れて流れる特性を持ち、電圧を下げる方向に働く。
-
調相設備
負荷が変動しても電圧値をほぼ一定に保つために、力率を調整する装置。電力用コンデンサ、分路リアクトル、静止形無効電力補償装置など。
-
ラジアルコア形鉄心
リアクトルの鉄心構造の一種で、電磁鋼板を放射状(ラジアル)に積層し、樹脂で一体化させた鉄心ブロックと絶縁物スペーサを交互に積み上げた構造を有する。
