ニュースリリース
阿南・紀北変換所向けにフィルタ保護リレー装置を更新納入 ~本州と四国を結ぶ直流連系設備の安定運用に貢献~
日新電機株式会社(本社:京都市右京区、社長:西村陽)は、四国電力送配電株式会社(本社:香川県高松市、社長:高畑浩二)阿南変換所および関西電力送配電株式会社(本社:大阪市、社長:白銀隆之)紀北変換所の交直変換設備*1向けに、高調波フィルタ設備*2を保護する保護リレー*3装置の更新を実施しました。2025年8月に2極、2026年3月に1極の運用が開始されています。本装置は、本州と四国を結ぶ直流連系設備*4(阿南・紀北直流幹線)の安定運用を支える重要な役割を担っています。さらに阿南変換所では、高調波*5の状態を常時把握できる高調波測定・監視装置*6についても当社が受注し更新しました。これにより、直流連系設備の信頼性向上、系統安定化、電力品質の維持・改善に貢献しています。
阿南変換所および紀北変換所は、本州と四国を結ぶ同一周波数系統間の直流連系を担う重要な拠点であり、長距離連系や大電力融通、系統事故時の安定度向上に重要な役割を果たしています。交直変換の過程では高調波と呼ばれる電気的なひずみが発生するため、高調波フィルタ設備の確実な保護と、現場での高調波の継続的な測定・監視が、設備の安定運用と予防保全の観点から極めて重要となります。
当社は、既設設備の更新対応に加え、保護ロジックの高度化や運用・保全のデジタル化ニーズを踏まえ、フィルタ保護リレー装置の更新を実施しました。新装置では、高速・高精度な異常検出と的確な動作により、フィルタ設備の保護信頼性を一層向上させるとともに、運転データの可視化、遠隔監視、事故発生時の波形記録機能を強化しました。
さらに阿南変換所では、高調波測定・監視装置を更新することで、系統の高調波状態をリアルタイムで可視化し、運転状況のトレンド把握や保全判断の高度化を実現しました。
【特長】
- 高精度・高速な保護処理(阿南・紀北)
保護リレー装置の2系列化により、一方に不具合が生じた場合でも、もう一方で保護機能を確保し、システム全体の信頼性を維持します。最新の保護アルゴリズムと高速演算により異常を迅速かつ確実に検知し、系統・設備のリスク低減と復旧性向上に寄与します。 - 運用監視・保全支援機能の強化(阿南・紀北)
パソコン(汎用ブラウザ)のヒューマンインターフェースを採用し、運転データの可視化、遠隔監視、事故発生時の波形記録機能を強化しました。状態監視による予防保全と保全効率の向上を支援するとともに、事故発生時の解析能力を高めています。 - 既設更新に最適化したリプレース設計(阿南・紀北)
既設フィルタ構成およびインタフェースとの高い親和性を確保するとともに、補助リレー*7盤の警報接点数*8を最適化することで、盤構成の大幅な簡素化を実現しました。 - 高調波の見える化を実現する高調波測定・監視装置(阿南)
50次までの整数次高調波*9と中間高調波*10、電圧の総合歪率*11、高次高調波合成電流*12の測定が可能です。取得した高調波データおよびオシロ記録*13をもとに詳細な解析が行え、状態監視や傾向管理を通じて保全作業の効率化と設備の安定稼働に貢献します。
今後も当社は、直流連系設備をはじめとする電力基幹設備の安定運用を支える保護リレー技術の高度化に取り組み、社会インフラの安全・安心に貢献していきます。


参考
【用語解説】
*1 交直変換設備
交流と直流を相互に変換する設備。直流連系設備の中核をなす装置であり、変換の過程で高調波が発生する。
*2 高調波フィルタ設備
高調波電流を抑制する機器。
*3 保護リレー(保護継電器)
保護継電器とは継電器の一種で、設備外部・内部の事故や過負荷などに起因する電流や電圧の急激な変化を検出し、故障区間を速やかに電力系統より切り離すよう遮断器へ制御信号を送出することで、電気回路・設備を保護する装置。検出する電気要素や保護対象の設備・回路等により、さまざまなリレー要素がある。
*4 直流連系設備
交流系統間を直流送電で接続する設備。本州―四国間などにおいて、大電力を安定的に融通することができ、系統安定度の向上に寄与する。
*5 高調波
基本周波に対して2倍、3倍、4倍と整数倍にあたる周波数の電気のこと。
*6 高調波測定・監視装置
電力系統における高調波の発生状況を測定・記録・監視する装置。運転状態の把握や傾向管理、予防保全の高度化に活用される。
*7 補助リレー
主回路の制御や保護を補助するためのリレー。警報出力や状態信号の伝送などに用いられ、設備の監視・運用を支える。
*8 警報接点数
異常や状態変化を外部へ通知するための接点(出力)の数。警報信号の集約や盤構成の簡素化に影響する。
*9 整数次高調波
基本周波数の整数倍(例:2次、3次、5次など)の周波数成分からなる高調波。交直変換設備などで主に発生する。
*10 中間高調波
基本周波数の整数倍ではない周波数成分の高調波。近年のパワーエレクトロニクス機器の普及により、測定・監視の重要性が高まっている。
*11 総合歪率
電圧や電流に含まれる高調波成分の大きさを、基本波に対する割合で示した指標。電力品質評価に用いられる。
*12 高次高調波合成電流
複数の高次高調波成分を合成した電流値。フィルタ設備や系統への影響評価、保全判断に用いられる。
*13 オシロ記録
オシログラフ(波形を観測・記録する測定装置)によって取得した電圧や電流などの電気信号の波形データのこと。
*14 交流フィルタ(ACF:Alternating Current Filter)
交流側に設置される高調波フィルタ。交直変換設備で発生する高調波を低減し、交流系統への影響を抑制する。
*15 直流フィルタ(DCF:Direct Current Filter)
直流側に設置される高調波フィルタ。直流送電設備で発生する高調波を低減し、通信設備などへの影響防止を目的とする。
