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SPSS®(スマート電力供給システム)の新たな実証を開始 ~「日新アカデミー研修センター」を活用してエネルギーソリューションを強化~

日新電機株式会社(本社:京都市右京区、社長:齋藤成雄)は、研修施設の「日新アカデミー研修センター」(以降、研修センター)で、SPSSの新たな実証として「自家消費太陽光発電ソリューション」と「直流配電ソリューション」を6月より順次開始しています。

脱炭素化社会の実現やエネルギーを基軸とした経済成長などの視点でますます重要になっている再生可能エネルギー(以降、再エネ)の利用拡大や省エネに向けた実証、開発検証ができる施設として研修センターを広く活用することで、エネルギーソリューションビジネスの強化と技術者の育成を図ります。また、2014年3月より前橋製作所(以降、前橋)で実施している分散型電源の実規模運用や2018年10月から開始しているVPP(バーチャルパワープラント)の活用についても研修センターで見える化することで、SPSSの取り組みを総合的にプロモーションできる情報発信拠点としても活用していきます。

 

研修センターにおけるSPSS実証計画の概要

 

●自家消費太陽光発電ソリューション

自家消費太陽光発電導入と自己託送を利用して太陽光発電(以降、PV)余剰電力を活用するソリューションを実現します。

●直流配電ソリューション

再エネと蓄電池を組み合わせた直流配電システムを研修センターの一部に構築して、その効果を実証します。

 

研修センターにおけるSPSS実証イメージ

 

1.自家消費太陽光発電ソリューション

当社では、研修センターに約100kW(92.4kW)の PVを導入しました。PVの発電電力は自家消費するため、研修センターにおける再エネ比率は37.2%、CO2排出量削減は27.1t-CO2/年を見込んでいます。

CO2排出量削減に向けて自家消費PVの導入を検討されるお客様が増えており、軽負荷時の余剰電力が課題になる場合があります。休日にPVを停止したり、出力を抑制する対策が取られますが、これではせっかくのPVによる電力が無駄になります。そこで、余剰電力を自己託送により無駄なく活用することで、さらなる再エネ比率の向上、CO2排出量削減につなげることができます。

 

■PV余剰電力の自己託送によりCO2排出削減効果は約1.5倍に(年内に自己託送運用開始予定)

自家消費PVは、休日などの軽負荷時にPVの余剰電力が生じるため、これを隣接の本社工場に自己託送することでPVを無駄なく活用するソリューションです。自己託送する再エネ発電量を研修センターにおける再エネ量とみなして加算すると、シミュレーションでの再エネ比率は53.2%、CO2排出量削減は38.7t-CO2/年。自己託送をしない場合の約1.5倍の環境負荷軽減となります。

自己託送を利用した自家消費太陽光発電ソリューションが、新たな環境施策としてお役に立つものと考えています。

 

PV余剰電力の自己託送によりCO2排出削減効果は約1.5倍に(年内に自己託送運用開始予定)

 

■PV自己託送を実現するEMS(エネルギー管理システム)を開発・

EMSを中心に様々なソリューションを提供

PV余剰電力を自己託送するためには、あらかじめ自己託送する発電量を計画して、計画と同時同量の自己託送を行う必要があります。計画と同時同量になるようにPV発電量を制御するEMSをENERGYMATE®-Factoryの機能追加として開発中で、年内に自己託送の運用を開始する予定です。

当社は、今回の開発により、多様な分散型電源の最適制御、VPP対応に加え、自己託送にも対応可能となるENERGYMATE-Factoryを中心にしてさまざまなソリューションを提供することが可能になります。

 

PV自己託送を実現するEMSを開発・EMSを中心にさまざまなソリューションを提供

 

2.直流配電ソリューション(7月より段階的に運転開始予定)

CO2削減のために再エネ導入、EV(電気自動車)導入、照明のLED化など、需要家側に直流で発電する分散型電源や直流で動く負荷が増えていくトレンドが見えています。そのような背景から、今後の半導体や電池技術の進歩により直流電力ネットワークを組んだ方が交流・直流変換ロスが低減し、省エネ化が進むと考えられます。一方で、再エネの電力変動抑制や余剰電力対策には、低価格化した蓄電池が組み合わせされるため、需要家間での電力融通による再エネの有効活用や、交流系統側の瞬低・停電時においても自立運転による運転継続といった直流配電のメリットを生かすことが可能になります。

当社では、「近未来の直流配電システム実現」を想定し、技術・安全面での課題解決や検証を目的として、研修センターに再エネと蓄電池を組み合わせた直流配電システムを構築、実証試験を開始します。

 

■直流配電システムの構成と実証内容

以下の直流で発電する電源、直流で動作する負荷、直流遮断器(半導体応用)、DC-DCコンバータ(直流変圧器)を介してつなぐ直流配電ネットワークを構成しています。

PVの電力を蓄電池に貯蔵することで、ほとんど買電することなく直流電力を負荷に
供給。
急速充電器のような突発性の負荷に対しては、蓄電池による負荷ピークカットで契
約電力の増加を抑制。
交流系統側の瞬低や停電に対しても安定した運転を継続。
直流配電系統内の短絡故障に対しても半導体遮断器により高速遮断し、故障の波及
を防止。
1500Vdcと600Vdcの直流配電基幹系を設け、相互の電力融通や複数フィーダへの直
流配電を実現。

直流配電実証システム

 

<ご参考>

■用語解説

・SPSS

Smart Power Supply Systems(スマート電力供給システム)の略称。当社の中核製品である受変電設備や、長年培った系統連系技術を駆使し、多様な分散型電源を組み合わせて省エネと電力の安定供給を実現するソリューションです。

・VPP

Virtual Power Plant(バーチャルパワープラント)の略称。従来、主に火力発電所の稼動・停止等、「供給側」で行ってきた電力の需給調整について、電力系統に点在する需要家の機器をIoT化し、一括制御することで、需要家設備から捻出できる需給調整力を有効活用し、あたかも1つの発電所(仮想発電所)のように機能させる仕組みです。

・自己託送

自家用発電設備を設置する者が、当該自家用発電設備を用いて発電した電気を一般電気事業者が維持し、および運用する送配電ネットワークを介して、当該自家用発電設備を設置する者の別の場所にある工場等に送電する際に、当該一般電気事業者が提供する送電サービスです。

 ・EMS(エネルギー管理システム)

エネルギー消費量のモニタリングや省エネ行動を喚起するための見える化、空調・照明などの省エネ制御、分散型電源の制御など、節電・省エネに関する機能を持ったシステムの総称です。

一般的にEMS(Energy Management System)と呼ばれ、ビル向けのBEMS(Building Energy Management System)、工場向けのFEMS(Factory Energy Management System)、水処理向けのWEMS(Water Energy Management System)、家庭向けのHEMS(Home Energy Management System)などに分類されます。

 ・ENERGYMATE-Factory

受変電設備に太陽光発電、CGS(コージェネレーションシステム)、蓄電池などの多様な分散型電源を組み合わせて最適に制御するエネルギー管理システムです。「予測」「数理計画による最適化」「リアルタイム制御」の技術を駆使したもので、太陽光発電量や負荷需要を予測し、これらの予測情報と設備稼働状況ならびに目標電力や分散型電源の設備特性など、複雑な運用条件を満足しながら、エネルギーコストが最小となるように分散型電源の運用計画を立案して制御します。CGS、蓄電池など、複数の分散型電源を設置するような場合には、設備管理者は最適な運用を維持するために、複雑な運用条件を考慮しながら、設備ごとに運用パターンを設定する必要がありますが、本製品は分散型電源の運用を全て統合することで設備管理者にとっての運用負担を軽減するとともに「エネルギーコスト最小運用」「ピークカット運用」「余剰電力活用」「BCP対策」などの運用に適用することができます。

 

■関連リンク

SPSS: https://nissin.jp/business/spss/index.html

エネルギー管理システム: https://nissin.jp/product/newenergy/control/index.html

 

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 こちらのフォームよりお問い合わせください。

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