2020.03.16
「アンモニア計による送気量フィードフォワード制御技術」が日本下水道事業団の「新技術Ⅰ類」に選定

日新電機株式会社(本社:京都市右京区、社長:齋藤成雄)と、地方共同法人日本下水道事業団(JS)、当社連結子会社である株式会社日新システムズが開発した「アンモニア計による送気量フィードフォワード制御技術」(以下、本技術)が、2020年2月19日にJSの新技術導入制度における新技術Ⅰ類に選定されました。

 

下水処理では、有機物や窒素(主にアンモニア性窒素(NH4-N))などの流入負荷の時間変動に応じて、反応タンクに適正な空気量を供給する必要があります。しかし、DO一定制御などの従来技術では、処理の対象となる水質を直接計測していないため、流入負荷の時間変動に追従した送気量の制御が難しく、処理水質が変動しやすいことが課題となっています。

 

本技術は、反応タンク内の2カ所(前段および後段)にNH4-N計を設置し、前段NH4-N濃度によるフィードフォワード制御(FF制御)と、後段NH4-N濃度によるフィードバック補正(FB補正)を組み合わせて、反応タンク送気量の自動制御を行う技術です。これにより、送気量の適正化による省エネや、処理水質(NH4-N濃度等)の安定化が期待できます。

 

「アンモニア計による送気量フィードフォワード制御技術」イメージ図

 

当社は今後、硝化促進運転を行う下水処理場の新設工事や更新工事などにおいて、本技術の導入を積極的に推進し、処理場の省エネや水質の安定化による地球環境保全に貢献していきます。

 

【技術の特長】

NH4-N流入負荷量を指標とするFF制御

前段NH4-N濃度と流量から演算するNH4-N流入負荷量に基づくFF制御により、流入負荷変動にリアルタイムに追従する送気量制御を実現します。

 

目標NH4-N濃度との偏差に基づくFB補正

後段NH4-N濃度が目標値となるよう、計測値との偏差に応じて送気量を補正することにより、処理水質(NH4-N濃度等)の安定化を図ります。

 

【期待される効果】

送気量の低減による省エネ化

従来制御に対して送気量を低減(DO一定制御より10%以上)することで、送風機電力量を削減

 

処理水NH4-N濃度の安定化

後段NH4-N濃度を目標値付近に維持することで、処理水NH4-Nを低濃度で安定化

 

【適用範囲】

1.水処理方法 硝化促進を行なう活性汚泥法施設※1(OD法を除く)
2.対象水量 制御ユニット※2当たりの対象水量が概ね1万m3/日以上の施設
3.導入効果 FS(フィジビリティスタディ)により導入効果(省エネによる導入費回収等)が見込める施設
※1. 例として以下の処理方法が対象
標準活性汚泥法(硝化促進)、嫌気好気活性汚泥法(硝化促進)、循環式硝化脱窒法、嫌気無酸素好気法、ステップ流入式多段硝化脱窒法
※2. NH4-N計(2台)やコントローラなど制御設備の1セット

 

参考資料

・JSの新技術導入制度

JSの受託建設事業において新技術を積極的に導入し「技術の善循環」を円滑に実施するための制度。
(新技術Ⅰ類:本制度において選定された新技術のうち、JSが固有研究または民間企業との共同研究などによって開発した技術)

 

【用語解説】

・アンモニア性窒素(NH4-N)

水中のアンモニウム塩の窒素量。

・DO一定制御

反応タンク内の下流側のDO(溶存酸素)濃度が一定となるように送気量を調整するフィードバック制御。

・OD法(オキシデーションディッチ法)

最初沈殿池を設けず、機械式エアレーション装置を有する水深の浅い循環水路を反応タンクとする活性汚泥法。

 

【参考リンク】

SPSS-Water: https://nissin.jp/product/spss/water/index.html

 

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