ニュースリリース
神戸製鋼所 高砂製作所へSTATCOM初号機を納入 フリッカを大幅に低減
日新電機株式会社(本社:京都市右京区、社長:松下芳弘)は、韓国の暁星重工業株式会社との協業により、同社製自励式無効電力補償装置(STATCOM)初号機を採用した受変電設備を株式会社神戸製鋼所(本社:兵庫県神戸市、社長:勝川四志彦)高砂製作所へ納入し、2024年4月より運転を開始しています。STATCOM はアーク炉設備から発生するフリッカ(電圧変動の一種)の大幅な低減を実現し、安定した電力供給と生産性向上に貢献します。
当社は、1973年に世界で初めて他励式無効電力補償装置(TQC)を開発・納入したパイオニアとして、以来、多くの需要家へTQCを納入してきました。しかし、今回はフリッカを大幅に低減する必要があり、それに優れた自励式(インバータ方式)のSTATCOMを採用しました。
本設備は当社がエンジニアリングと連系設備を担当し、STATCOMは暁星重工業製を国内向けとして初めて納入しました。高速応答が可能なインバータ方式のため、アーク炉設備から発生するフリッカの大幅な低減を実現します。また、インバータや制御部分をコンテナに収納したコンテナ方式により、設置面積の縮小や施工コストの低減も実現しました。
【特長】
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高速でフリッカ抑制
自励式(インバータ方式)は高速応答が可能なため、無効電力の変動をすぐに検知し、素早く補償する。これにより無効電力の不安定さを瞬時に解消し、フリッカを抑制。
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省スペース設計
インバータと制御部分をコンテナに収納するコンテナ方式を採用。建屋が不要となり、設置面積を30%縮小。
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施工コスト低減
建屋不要により、施工費用を15~20%低減。
今後も暁星重工業との協業を推進し、国内外のアーク炉需要家を中心としたお客様のご要望にお応えする電力品質ソリューションを提供していきます。

自励式無効電力補償装置(右)とスイッチギヤ(中央)

自励式無効電力補償装置(STATCOM)
当社グループは中長期計画「VISION2025」において、6つの成長戦略に取り組んでいます。本件は「再生可能エネルギー対応」に寄与する事業活動の一つです。
当社グループは事業活動を通して、SDGsへの取り組みを強化しています。本件はSDGsの17の目標の内、下記の目標達成に関連する活動です。
7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
17.パートナーシップで目標を達成しよう
参考
【用語解説】
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無効電力補償装置
大規模再エネ発電所や電力会社の変電所に設置され、系統電圧を一定範囲に維持する装置。
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自励式無効電力補償装置(STATCOM)
インバータを用いた制御方式で、高速応答性や制御精度に優れ、負荷変動に柔軟に対応可能です。
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他励式無効電力補償装置(TQC)
サイリスタを用いた制御方式で、制御の柔軟性や応答速度が自励式より劣るものの、大規模システムやコストを重視する場面で活用されています。
無効電力補償装置大規模再エネ発電所や電力会社の変電所に設置され、系統電圧を一定範囲に維持する装置。
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フリッカ
負荷電流が高速に変化することにより電圧が高速に上下する変動で照明が繰り返しちらつく現象。
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6つの成長戦略
「環境配慮製品の拡大」「分散型エネルギー対応」「再生可能エネルギー対応」「DXの製品・事業への適用」「新興国環境対応需要の捕捉」「EV拡大に伴う事業拡大」